シエナ出身のデヴィッド ミリオリーニはこれまで、 アグロノモ(栽培家)としてクラッシコ地区のブドウ栽培に携わってきた。
前当主ジョバンニ カペッリは1700年代より続く、 モンタリアーリ伝統のキァンティ クラッシコを守り続けてきた人物。
しかし、後継者に恵まれず苦悩する彼と、伝統を愛するデヴィッドの 出会いは鮮烈すぎた。彼はジョバンニに心酔し、すべてを賭けて「Montagliari」を受け継ぐ道を選ぶ、
これは当然の成り行きであったといえる。
畑はカンティーナの周りに広がる12haの土地、標高は420mとパンツァーノの中腹に当たる、 樹齢は50年の畑。栽培しているブドウは昔から変わらないサンジョヴェーゼ、カナイオーロ、コロリーノ、チリエジョーロ、マルヴァジア
ネーラ、マルヴァジア ビアンカ、トレビアーノ。
パンツァーノの持つ土壌的特徴、標高、山間の風通しの良さは、果実に豊かな酸と 透明感を与える、「上品さ」を感じさせる土地。
彼はこれまで行ってきた栽培と醸造を一切変えることなく、貫き通している。 醸造は伝統的な大型のセメントタンクによるマセレーションと醗酵を行い、途中一切の温度管理を行っていない。
モンタリアーリのカンティーナは、夏場は温度がやや高くなることもある(いわゆる醸造学的には、あまり好ましくない状態)、しかし彼はこの温度の上昇さえも、モンタリアーリのワインの伝統に違いなく、このカンティーナで、毎年「季節という温度変化」を
感じながら熟成していくことが、「モンタリアーリとして最重要な事」と考えている。
熟成は6000L〜8000Lという大型の木樽に移し、 クラッシコで30か月、リゼルヴァに至っては60か月を超える熟成。果実の持つ骨太なタンニン、長い時間により丸みと旨味を感じるように なる。彼がこだわるのは100年前から何一つ変わらないキャンティの醸造方法である。また、ヴィン サントも変わらない方法で醸造。
アパッシメント(陰干し)した果実を圧搾し、カラテッリと呼ばれる小樽(50〜100L)に移し入れ、セメントで完全に密封。
そしてカンティーナの2階にある熟成小屋で10年以上の歳月をかけて醗酵と熟成を繰り返していく(夏場は40℃以上、冬は5℃以下、 カラテッリは50年以上オリを残したまま繰り返し使われる。
代々引き継がれ、カラテッリの中で淘汰されてゆく酵母によって再醗酵と 酸化熟成を繰り返す。
醗酵が終わり、完成するまでには早くても10年以上の歳月を必要とする)。 長い年月が生み出す、この土地伝統のヴィンサントを現在でも味わうことができる。 |